コラム

24.04.25

後払い決済とはどんな支払い方法?メリット・デメリットなどを解説!

「欲しいものがあるけれど手元に現金がないから買えない」というもどかしい思いをした経験がある方もいるでしょう。そんな方の強い味方となるのが、後払い決済です。

後払いはクレジットカード(以下「クレカ」と呼ぶ)のショッピング機能・各種ローンしかないと思っている方もいるかもしれませんが、近年ではそれら以外の後払い決済が存在することをご存知でしょうか。

今回は、後払い決済の仕組み、メリット・デメリットなどについて詳しく解説しましょう。

後払い決済とはどういうシステム?

後払い決済とは、従来の商品購入方法である「消費者が代金を支払ってから商品を受け取る」という手順ではなく、「消費者が商品を先に受け取ったあとに代金を支払う」という決済方法のことです。

後払い決済は主に2種類のシステムがあります。

事業者が自前で後払いシステムを構築して店舗・ECサイトで売買を実践

自社で後払い決済システムを構築・実践する場合、他の業者に依頼する外注がないため、費用がかかりません。ただし、システムの管理・消費者との一連の手続きなどすべて自社で行わないといけないため手間がかかります。

また、システム構築をするための初期費用がかかるのも特徴です。後払い決済による業績によって初期費用が早期に回収できれば問題ありませんが、業績の結果が出ない場合、赤字となってしまいます。あらゆる業務を円滑に行なうために、後払い決済事業に関する知識・スキルを持ち合わせた人材を自社で育成しなくてはいけません。

事業主が後払い決済代行業者に依頼をしてシステムを利用

事業者が後払い決済を導入する場合、後払い代行業者に依頼して行なう手段もあり、これは「債権譲渡型後払い決済」と呼ばれています。

債権譲渡型後払い決済は、商品・サービス購入の注文後、代行業者が代金を事業者に立て替えて支払い、購入者からの支払いは業者が受け取る仕組みです。

この方式は、一連の業務をすべて業者が代行するため事業者は手間がかからず、また未払いのリスクも回避できます。ただし、事業者は業者への依頼代金が発生するため、後払い決済の規模によっては、自前で後払い決済を行なう場合より費用がかかるでしょう。

消費者が後払い決済を利用するメリット

消費者側にとって後払い決済の利用はどのようなメリットがあるのか、以下より代表的な5つのメリットを紹介しましょう。

現金がなくても買い物が可能

後払い決済のメリットは手元に現金がなくても欲しいものを購入できる点です。給料前などでお金の都合がつかなかった場合、欲しいものがあっても我慢しなくてはいけません。

手元に現金がない時に助かるのが、クレカのショッピング枠の利用です。しかしクレカを発行するためには厳しい審査を通過する必要があります。また学生や主婦・高齢者・フリーターはクレカの発行が難しいことも多いため、クレカは誰でも簡単には持てない仕組みです。

しかし後払い決済はクレカより比較的審査が優しく、学生・主婦でも利用できます。クレカ利用のような後払いでの買い物が、学生・主婦・フリーターでも実現可能です。

高額の買い物でも支払いに負担がかからない

後払い決済のメリットは、高い商品・サービスであっても、ゆとりを持って支払いを済ませられることも挙げられます。通常の買い物は即時払いとなるため、その商品・サービスの代金をその場で用意しないといけません。

しかし、後払い決済は商品・サービス購入後から約2週間後までに支払いを済ませれば問題ないのが特徴です。

購入後に別の急な出費でお金が必要な場合でも、後払い決済はすぐに支払いを済ませる必要がないため、自分の生活に負担をかけずに支払いを終えられます。自分の都合の良いタイミングを選べることが後払い決済のメリットです。

ただし、後払い決済の支払い期間は、サービスによって設定が異なります。支払い期限をしっかりと確認することが大事です。

確実に欲しい商品が入手できる

商品を実際に手に取って確認してから支払いを済ませられるのも、後払い決済のメリットです。通常の買い物だと商品を実際に手にとっての使用は購入後でないと行なえません。

特にオンラインの場合はすべてのやり取りを非対面で行なうため、実際の商品は確認できません。そのため実際に商品が手元に届いた時、品質が悪かったなどというパターンも珍しくありません。

それに対して後払い決済は、代金を支払う前に商品が届いてから確認ができます。品質が悪い・使ってみたけれど自分に適していなかったなどの理由での返品が、代金の支払い前に行なうことが可能です。

ECサイトで買い物をしたいが「商品がちゃんと届くのだろうか」「不良品が送られてこないだろうか」と不安に思うユーザーも少なくありません。

商品が問題なく使えることを確認した後に、料金を支払うことが可能です。また、商品がイメージと異なる場合、キャンセルできる場合もあります。

ただし、一部の後払いサービスおよび取扱商品によっては、キャンセル不可となっている場合も

あるので、事前に返品可能であるか確認しましょう。

不正利用を回避

後払い決済のメリットは、クレカ不正利用・フィッシング詐欺を回避できる点も挙げられます。クレカ払い・ネット振込サービスを利用する場合、カード情報の漏えい・不正利用・詐欺などが発生する可能性も少なくありません。

しかし後払い決済であればカード情報入力などは一切行わないため、トラブルが発生する心配は不要です。

さまざまなシーンに対応

後払い決済は自分のためだけでなくさまざまなシーンにも有効活用できます。その一例が知り合いのお祝いなどでプレゼントをしたくても本人に会う時間が取れない場合です。

この場合後払い決済で知り合い宛に送付をすれば、知り合いのプレゼント商品の購入・贈呈・その商品の支払い手続きを一度に済ませられます。プレゼントを購入して自分で一度保管するといった手間が省けるので、生鮮食品をプレゼントに選ぶことも可能です。

事業者が後払い決済を導入するメリット

後払い決済は、消費者だけでなく事業者側が導入してもメリットのある決済システムです。事業者にどのようなメリットをもたらすのか、以下より説明します。

顧客の拡大

後払い決済を導入すれば、新規顧客・見込み客の層が拡大する可能性が高まります。後払い決済のメリットはお金に余裕がない方・後払い機能のあるクレカを所有していない主婦・学生なども利用可能です。それにより今まで欲しくても購入できなかった商品・サービスが購入可能になるため、より多くの顧客層を獲得できます。

また、後払い・ネットショッピング利用による個人情報の不正利用・商品未到着といったトラブルが怖い層にも安心感を与えられることもメリットです。今までトラブルを恐れて買い物を躊躇していた層の獲得も見込めます。

業務の負担軽減(代行業者に依頼した場合)

後払い決済が軌道に乗れば、収益もアップします。業績向上に比例して発生するのが今までになかった業務の増加です。請求書の発行や発送作業・代金及び未払金の回収・督促など、あらゆる業務が発生します。

これらを円滑に遂行できるシステムが構築されていれば問題ありませんが、導入してまだ間もない会社はノウハウがまだ確立されていない場合も珍しくないため、大変な労力がかかります。

そのような事業者の強い味方となってくれるのが、後払い決済代行業者です。請求書の発行や発送、未払金の回収・督促といった面倒な業務をすべて代行してくれるのも、事業者が後払い決済を導入した際のメリットです。

消費者・事業者が後払いを導入するデメリット

便利な後払い決済ですが、消費者・事業者ともにメリットだけでなくデメリットともいえる点も存在します。以下より消費者・事業者それぞれのデメリットといえる点を紹介しましょう。

消費者のデメリット

消費者にとってはすぐに現金の用意がなくても買い物ができる後払い決済は、今まで欲しくても買えなかった物が購入できるため、多大なメリットをもたらしてくれます。しかしその便利さが消費者を追い詰める可能性もあるのです。

後払い決済は利用後の返済に計画性を持たないといけません。自分の収入・返済能力以上の買い物をするとその後に起きてしまうのが、返済の延滞・滞納です。延滞・滞納が続くと以下のようなことが起きます。

  • 事業者側からの法的手段の決行、給料・財産の差し押さえ
  • ブラックリスト入り
  • 社会的信用度の喪失

上記のような状況に陥ると今後、金融機関・各種ローンの申し込みをしても審査落ちする可能性が高くなります。

事業者のデメリット

支払いの延滞・滞納の発生は事業者にとっても大きなダメージとなります。商品を消費者に渡しているのにその代金を回収できないと収益になりません。そして回収するための督促・最後の手段である法的な手続きなど、多大な手間も発生します。

後払い決済代行業者を利用すればそのような未払いのリスクや手間をすべて任せることが可能です。しかし自社で後払い決済システムを抱えている場合は、未払いのダメージが発生する恐れがあります。

消費者が後払いを利用する際の注意点

消費者が後払い決済を利用する場合、事前にいくつかのポイントを確認しなくてはいけません。その注意点とは何か、次より説明します。

限度額を確認

後払い決済を利用して買い物をする際は、限度額がいくらまでに設定されているのか確認することが大事です。自分が欲しい商品・サービスがあっても利用可能限度額を超えていては、後払い決済はできません。

また、例えば、ECサイトAとECサイトBが同じ後払い決済代行業者を導入している場合、ECサイトAの限度額が50,000円(税抜)で、ECサイトBの限度額も同じく50,000円(税抜)だとします。ECサイトAで30,000円(税抜)の買い物をした場合、ECサイトBでは、20,000円(税抜)を超える買い物は出来ない可能性があるため、ECサイトがどこの後払い決済代行業者を導入しているかチェックすることも重要です。

支払日を確認

後払い決済は、商品を受け取った後日に支払いを済ませれば問題ありません。しかし支払い日をうっかり忘れていた、あるいは支払日までにお金の用意ができなかった場合、今後後払い決済の利用ができなくなる恐れがあります。

支払日は後払い決済を行なっている会社によって異なりますが、ほとんどの支払い期限は14日以内という決まりが多いです。なかには14日もあれば余裕を持って支払いできるだろうと安心している方もいるでしょう。しかし安心しきって支払日を忘れていたり、お金の用意をするのを忘れてしまっていた場合、支払い延滞・滞納を招きます。それにより支払い延滞・滞納という利用規約違反として延滞金や再請求手数料が発生する可能性もあります。

このような失敗をしないためにも、支払いまでの期間はどれくらいなのか事前に確認することが大事です。

手数料を確認

後払い決済は、利用ごとに手数料がかかります。手数料は一切無料のところもあれば、設定された手数料も会社によって異なる仕組みです。後払い決済を初めて利用する方は、支払う代金は商品の代金だけと思っている方もいるかもしれません。しかし後払い決済には手数料も発生する場合があることを覚えておくことが大事です。

また、人によっては後払い決済が便利だからといって何度も利用する方もいるでしょう。しかし1回ごとの手数料が少額であっても、それが何度も続くと合計で決して高くない金額になります。商品の代金以外にも支払う額が増えて、その結果、決して高くない出費になってしまったというケースもあります。

事業者が後払い決済システムを導入する際の注意点

事業者側が後払い決済システムを導入する場合どのような注意点があるのか、以下より紹介します。

ECサイト構築の場合

後払い決済の導入において最も効率的に多くの顧客に対応できるのが、ECサイトの構築です。ECサイトを用意すればオンラインで全国の消費者からの注文に、24時間体制で対応できます。また店舗を持たなくても取引が可能なため、ランニングコストもかかりません。

しかしそのようなメリットを実現するためにはクオリティの高いECサイトを構築しないといけません。後払い決済に関する業務の効率化・ノウハウ構築も大事ですが、ECサイトそのものを強化して精度の高いサイトを構築・運営しないとサイバー攻撃などのトラブルが発生した際、業務が遂行できなくなります。

また、サイト内のコンテンツを充実させることも大事です。ただ商品紹介をするだけでなく、いかに多くのアクセス数を稼いで見込み客を発生させるか、対策しないといけません。初めはそれぞれの専門家に外注でお願いして、その間に自社でECサイト運営・管理を一任できる人材を育成するといった手順でもいいでしょう。

ECサイトにかかる初期費用、軌道に乗るための期間・ECサイト運営・人材育成のためのノウハウの確立にかかる期間など、クリアするための課題を事前に認識しておきましょう。

代行業者に依頼する場合

時間をかけずに後払い決済を導入してすぐに成果を出したい場合、おすすめなのが後払い決済代行業者への依頼です。事業者は一つの代行業者を見つけ次第すぐに依頼するのではなく、複数の業者を比較することをおすすめします。

代行業者はそれぞれ費用・サービス内容に違いがあります。費用の安さに釣られて依頼したけれど自社と相性が合わなかったという失敗例も珍しくありません。複数の代行業者を並列に並べて比較するとそれぞれの違いがわかりやすく浮き彫りになるため、比較作業は必ず行ないましょう。

また、代行業者の口コミ・評判のチェックをすることも大事です。なかにはサービスの質が悪いといった意見が目立つ業者もあるため、依頼する前に評判の確認をしておきましょう。

まとめ

後払い決済は消費者・事業者の双方にメリットのある支払い方法です。現金がなくても商品・サービスの購入が可能なため、消費者は負担のない商品購入が可能・事業者側は顧客の拡大などといったメリットがあります。

しかし後払い決済は消費者・事業者ともにデメリット・注意点もあるため、それらをしっかりと把握することが大事です。

メリット・デメリットを頭に入れて、後払い決済の円滑な利用・導入を実践しましょう。